2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧
大変な思いで書きました。磨かれきった落語のすごさを,再認識した気がします。私自身の色を出そうと思っても,そうすると別の所で無理が生じてしまうようでした。 プロローグにある二代目蝶花楼馬楽。この人に心酔した噺家が三代目の馬楽となり,後に四代目…
【Act Ⅰ】 月番(以下,月)「おい,これで長屋の者は揃ったかい。大家がさ,みんなが仕事に行く前に集めてくれって言ったんだよ。今月は俺が月番だから,その通りにみんなを呼びに行ったんだけどね,どうせろくなことじゃねえだろうと思うんだ」 ○「ふー…
上方の『貧乏花見』をご存知の方は,こちらの東京バージョンは短く感じられるかも知れません。狂言の喧嘩をして食べ物を奪う場面がないからです。 今の東京型を作ったのは二代目蝶花楼馬楽という方だそうです。 飛鳥山の桜
第8回 『長屋の花見』
お世辞というのは嘘ではなくて,事実の部分的拡大なのだとか。 ところで,オチの「タダ」は,初めの“タダの酒”とかかっているようです。
【Act Ⅰ】 八五郎(以下,八)「こんちは」 隠居(以下,隠)「八っつぁんじゃねえかい,どうしたい,お上がり」 八「今ねえ,そこの横丁で聞いてきたんす」 隠「何を」 八「隠居んとこにタダの酒があるっての」 隠「そら聞き違いだなあ,灘の酒って言っ…
誕生日が1月2日というお年寄を,けっこう見かけます。実は,1月2日生まれの人は,本当はそうでない場合があるそうです。昔は歳を“満”ではなく“数え”で勘定していました。生まれた時点で1歳ですね。そして,その年が明けると2歳。なので,12月に生まれた子は…
第7回 『子ほめ』
最後の「恐惶謹言」「依って管の如し」は,かつての公式文書の結び言葉です。
【Act Ⅰ】 大家(以下,大)「ああ,八っつぁんか。こっち上がっとくれ」 八五郎(以下,八)「へえ」 大「遅かったじゃないか。さっきだろう,ばあさんが呼びに行ったのは」 八「ええ,大家さんのことだから小言だろうと思って・・・いや,こっちのこと…
落語には,噺家自身も意味を知らないのに喋らざるを得ない言葉が一つあります。 「センギョクセンダンニイッテコレヲマナバザレバキンタラントホッス」 “お仲入りVol.1”と重なりますが,寄席で圓喬にもっと遅い時間に上がってもらいたい時,裏方をする前座さ…
第6回 『たらちね』
休憩時間である仲入りでは,このように気になる落語家について語らせていただきます。 それではメンバーのご紹介!(実際に取り上げる順番は異なります) 初代三遊亭圓朝 四代目橘家圓喬 三代目三遊亭圓馬 八代目桂文楽 五代目古今亭志ん生 六代目三遊亭圓生…
お仲入り Vol.1 “妖刀村正”四代目橘家圓喬 慶応元(1865)年〜大正元(1912)年 <東京> 文楽,志ん生,圓生という昭和の三大落語家をして,口を揃えて「名人だ」と言わしめるのは橘家圓喬ただ一人です。ただ,大変な皮肉屋という性格が災いして,没す…
家主のセリフは冒頭の1回のみです。ここから話が始まってゆくのですが,それがいかにも文学的な手法のようで気に入っていますw この噺は,大抵,半ば(職人が実際に引っ越す直前の部分)で切られます。けれど,この噺と『らくだ』だけは,最後まで聴きたい二…
【Act Ⅰ】 大家「なんだい!なにか気に入らないのかい。別にいいんだよ。こっちは何もお前さん方に無理にここにいてもらおうってんじゃねえんだ。借り手はいくらでもいるんだからね。文句があるなら出てっとくれ!」 源兵衛(以下,源)「・・・どうでも…
仲入り前の大ネタです。 この噺を手がけていない落語家を探すことは難しいといえます。 上方では“借家怪談”というそうです。 なお,下の図は怪談『牡丹灯篭』のお露です。綺麗ですね。100席には“牡丹灯篭”は含まれず後で重なることがないので載せました。 幽…
第5回 『お化け長屋』
焼き塩とは,塩を焼いて加熱して,よりサラサラにしたものだそうです。 食材にまんべんなくつけられるなどの利点があるほか,殺菌効果もあるとか。 私自身はとても好きな物語です。
【Act Ⅰ】 お花(以下,花)「もし,お武家さま」 侍「どうした。女中さんか」 花「はい。往来で失礼でございますが,実は,お願いがあるのでございます」 侍「うん,どうした」 花「わたくしは,江戸へ出て,今はそこの店(たな)に奉公しております。母…
演じ手の少ない噺です。筋がしっかりし過ぎていて,あまり演出の自由を与えてくれないからかも知れません。 ですが,聞くと江戸の悲哀を垣間見ることができる,大事な噺だと思います。 江戸文字
第4回 『泣き塩』
「回り落ち」の典型的な噺です。現代風に言うと「夢オチ」ということにもなりますね。 でも,ここまで工夫されているのなら「夢オチ」も捨てたものではない気がします。
【Act Ⅰ】 お光(ミツ。以下,光)「あんた,お起きなね。そんな所で寝たら風邪をひくじゃないか。あら,鼻から提灯を出してる。あ,なくなったよ。また出た。お祭りの夢でも見てんのかしら。今度は難しい顔してぶつぶつ言い始めたね。どんな夢見てるんだ…
SFものの登場です。今の小学生に落語を好きになってもらおうと思ったら,やはりこういう噺が一番? 『狸』『一眼国』などなど・・・。通の小学生が相手なら『田能久』でしょうか w 天狗の面(浜松市)
第3回 『天狗裁き』
若い男が暇つぶしのために老人の所へ遊びに行く。別に血縁者でもビジネス上の関係者でもありません。 大した起伏がないストーリーだからこそ,根底にあるこのユートピア的な落語世界を確認できる気がします。
【Act Ⅰ】 隠居(以下,隠)「おや,八っつぁん。しばらくだなあ。まあお上がり」 八五郎(以下,八)「どうも,ご隠居さん。すっかりごぶさたしました」 隠「たまには遊びに来ておくれよ。何かい,今日は何か用があって来なすったのかい」 八「いいえ,…
前座噺の代表格ですね。 とは言っても,大真打と呼ばれる師匠連もよく手がけるstandard number(!)で 先代三遊亭金馬,古今亭志ん生,先代柳家小さん,立川談志などが有名です。 太田道灌の“山吹”伝説の碑
第2回 『道灌』