お仲入り(into六代目春風亭柳橋)

お仲入り Vol.3 “早熟の天才”六代目春風亭柳橋 明治三十二(1899)年〜昭和五十四(1979)年 <東京> 落語藝術協会を創立したのが三十一歳の時でした。“四十,五十は鼻たれ小僧”といわれる落語界。そこにあって,今の東京の落語二大団体の一つを立ち上…

Green‐tea Break

この噺は,時代背景は明治でしょうか。細かく往年の市井が描かれており,風俗的な資料価値があると思います。現在では銭湯も少なくなったため,つくりを知らないという方もいらっしゃるかも知れません。だからこそ,こういった噺はいつも私たちと共にいて,…

本編

【Act Ⅰ】 おかみ「ちょいとお前さん,どうするんだい。ちょいと,どうするの」 亭主「なんだい,どうするのって。今,一仕事終えて,昼飯を食べようと帰ってきたばかりじゃねえか。なにをどうする」 おかみ「なにをじゃないよ。二階の居候だよ。いつまで…

プロローグ

大きな商家に生まれたものの,道楽が過ぎて勘当になった若旦那が,出入りの職人の家に居候しますが,やがてその家も追われるようにして湯屋へ奉公に出ます。「働くとはどういうことか」というほどの堅苦しいテーマではありませんが,若者の社会進出をどこか…

湯屋番

第12回 『湯屋番』

Green‐tea Break

たぬきシリーズには,他にもいくつか物語があります。 真打ちの噺である『狸賽(たぬさい)』。それから「納所(ナッショ)!熱い!熱いぞ住持!」の『狸の釜』は,別の機会に書かせていただきたいと思います。

本編

【Act Ⅰ】 八五郎(以下,八)「おい,おい,そりゃいけねえな。子どもってのは動物と仲良くするもんだよ。犬をいじめんじゃねえ。ホラ,ホラ,石なんかほうるんじゃねえよ」 子供「おじさん,これ犬じゃねえんだョ。狸だよ」 八「狸だ?そうか,犬にしち…

プロローグ

落語のファンタジー部門の一位かも。

たぬき

第11回 『たぬき』

お仲入り(into二代目桂春団治)

お仲入り Vol.2 “舌先の交響曲”二代目桂春団治 明治二十七(1894)年〜昭和二十八(1953)年 <上方> 桂春団治という名前は現在まで三代続いています。それぞれ名人と言われてきましたが,初代があまりに怪物的であったので,その分,後の師匠連を蔭ら…

Green‐tea Break

圓生が,この噺を選んだ理由に,下品な所がないことと,ハッピーエンドで終わることがあったそうです。 その分,落語の醍醐味といえる恐ろしい「業」のような部分は“去勢”状態になっている感じですが,やっぱり名作ですね。

本編

【Act Ⅰ】 善六(以下,善)「あらら。何だい,こんな所に,旦那が大事にしてる徳利が転がってら。困ったな,どこにしまおうか。ああ,この水瓶の中でいいか。煤取り(大掃除)が終わったら,ちゃんと戻せばいいだろう」 主「・・・・・・いやあ,今年も…

プロローグ

オミキドックリと読みます。昭和四十八年,六代目三遊亭圓生が宮中の御前口演で演じた噺です。 これは,似て非なるもう一つの筋がありますが,今回は圓生のコースを取ってみようと思います。 旅籠(宿)

御神酒徳利

第10回 『御神酒徳利』

Green‐tea Break

この噺のラストが好きです。 ただ,残念なことに今まで色んな師匠方の『だくだく』を聴いてきましたが,ラストを(私にとって)思う存分やってくれた方はいらっしゃらず,スッと切り上げてしまう気がしました。 「もし自分が落語家なら,この部分を伸ばした…

本編

【Act Ⅰ】 熊吉(以下,熊)「どうも先生」 絵師(以下,師)「おや熊さんかい。珍しいな。まあお上がりよ」 熊「何しろここんところ忙しくてねぇ」 師「忙しいのは結構じゃあないか」 熊「いえ,それがあんまり結構じゃないんですよ。店賃(家賃)を一年…

プロローグ

今度は一気にイリュージョンの世界へ飛び込みましょう!! 落語の国では,泥棒に入る側も入られる側も協力し合って 皆さんを夢の世界にいざないます。 棟割長屋

だくだく

第9回 『だくだく』

Green‐tea Break

大変な思いで書きました。磨かれきった落語のすごさを,再認識した気がします。私自身の色を出そうと思っても,そうすると別の所で無理が生じてしまうようでした。 プロローグにある二代目蝶花楼馬楽。この人に心酔した噺家が三代目の馬楽となり,後に四代目…

本編

【Act Ⅰ】 月番(以下,月)「おい,これで長屋の者は揃ったかい。大家がさ,みんなが仕事に行く前に集めてくれって言ったんだよ。今月は俺が月番だから,その通りにみんなを呼びに行ったんだけどね,どうせろくなことじゃねえだろうと思うんだ」 ○「ふー…

プロローグ

上方の『貧乏花見』をご存知の方は,こちらの東京バージョンは短く感じられるかも知れません。狂言の喧嘩をして食べ物を奪う場面がないからです。 今の東京型を作ったのは二代目蝶花楼馬楽という方だそうです。 飛鳥山の桜

長屋の花見

第8回 『長屋の花見』

Green‐tea Break

お世辞というのは嘘ではなくて,事実の部分的拡大なのだとか。 ところで,オチの「タダ」は,初めの“タダの酒”とかかっているようです。

本編

【Act Ⅰ】 八五郎(以下,八)「こんちは」 隠居(以下,隠)「八っつぁんじゃねえかい,どうしたい,お上がり」 八「今ねえ,そこの横丁で聞いてきたんす」 隠「何を」 八「隠居んとこにタダの酒があるっての」 隠「そら聞き違いだなあ,灘の酒って言っ…

プロローグ

誕生日が1月2日というお年寄を,けっこう見かけます。実は,1月2日生まれの人は,本当はそうでない場合があるそうです。昔は歳を“満”ではなく“数え”で勘定していました。生まれた時点で1歳ですね。そして,その年が明けると2歳。なので,12月に生まれた子は…

子ほめ

第7回 『子ほめ』

Green‐tea Break

最後の「恐惶謹言」「依って管の如し」は,かつての公式文書の結び言葉です。

本編

【Act Ⅰ】 大家(以下,大)「ああ,八っつぁんか。こっち上がっとくれ」 八五郎(以下,八)「へえ」 大「遅かったじゃないか。さっきだろう,ばあさんが呼びに行ったのは」 八「ええ,大家さんのことだから小言だろうと思って・・・いや,こっちのこと…

プロローグ

落語には,噺家自身も意味を知らないのに喋らざるを得ない言葉が一つあります。 「センギョクセンダンニイッテコレヲマナバザレバキンタラントホッス」 “お仲入りVol.1”と重なりますが,寄席で圓喬にもっと遅い時間に上がってもらいたい時,裏方をする前座さ…

たらちね

第6回 『たらちね』